僕 は 変 態 な ん か じゃ な い
ク ソ ム シ が

悪の華

大ヒット公開中

憧れの女子の体操着を盗んで逃げてしまった僕。一部始終を目撃していた彼女から言い渡されたのは、悪夢のような主従関係

伊藤健太郎 玉城ティナ 秋田汐梨 飯豊まりえ  北川美穂 佐久本宝 田中偉登 松本若菜 黒沢あすか 高橋和也 佐々木すみ江 坂井真紀 鶴見辰吾 原作:押見修造「惡の華」(講談社『別冊少年マガジン』所載) 監督:井口昇 脚本:岡田麿里 音楽:福田裕彦 製作:松井 智 板東 浩二 小西啓介 小畑良治 新井重人 プロデューサー:永田芳弘 涌田秀幸 共同プロデューサー:関口周平 アソシエイトプロデューサー:山野邊雅祥 冨松俊雄 撮影:早坂伸(J.S.C.) 照明:田島慎 録音:柳屋文彦 美術:鈴木隆之(A.P.D.J) 装飾:相田敏春 衣裳:藤山晃子 ヘアメイク:リョータ 小道具:岡安明佳里 VFX:鹿角剛 大畑智也 音響効果:井上奈津子 編集:山本彩加 助監督:南柱根 制作担当:伊東祐之 製作:『惡の華』製作委員会(ハピネット ひかりTV ファントム・フィルム 角川大映スタジオ 日活) 企画・製作幹事:ハピネット 共同幹事:ひかりTV 企画・制作プロダクション:角川大映スタジオ 配給・宣伝:ファントム・フィルム ©押見修造/講談社 ©2019映画『惡の華』製作委員会

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Intoroduction

絶望の思春期を突き進む、超<変態>狂騒劇!

原作は、『スイートプールサイド』や『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』など、映画化が続く押見修造の代表作「惡の華」。「別冊少年マガジン」(講談社)にて、創刊号(2009年10月号)から2014年6月号まで連載され、2013年にTVアニメ化、2016年には舞台化もされた人気マンガ。〈中学編〉と3年後の〈高校編〉からなる、思春期の暗黒面をえぐり出した衝撃作は、当時はもちろん現在に至るまで熱狂的な共感と支持を集め続けている。

主人公の春日高男を演じるのは伊藤健太郎。2014年に俳優としてデビューし、主演映画『デメキン』のほか、ドラマや舞台に次々と出演し、目覚ましい成長を遂げており、ブレイク間違いなしの注目株だ。撮影当時21歳だった伊藤は、テクニックと熱量を注ぎ込み、爽やかで健康的な好青年というパブリックイメージを打ち破り、新境地を開拓した。本作が彼のフィルモグラフィーにおける重要作になるのは間違いないだろう。

春日の人生観に決定的な影響を与える仲村佐和を演じたのは、2018年をもってファッション誌「ViVi」の専属モデルを卒業し、女優として開花しつつある玉城ティナ。2019年は『チワワちゃん』『Diner ダイナー』『地獄少女』などの映画に出演。本作でもその圧倒的なビジュアルで、何者ともなじまない異質な存在の仲村に、カリスマ性を与えている。

春日が憧れる佐伯奈々子役には、数百人以上がエントリーしたオーディションを経て、満場一致で15歳の秋田汐梨が抜擢された。初々しさと貫禄を兼ね備えた演技により、ただの才色兼備のマドンナではない佐伯を見事に実体化。末恐ろしい女優が発見されてしまった。

夏祭りで大事件を起こしたことが原因で、一家で引っ越すことになった春日が、高校で出逢い交流を深める常磐文に扮するは、モデル、女優と大活躍中の飯豊まりえ。スタイルが良く垢抜けており男子に人気だが実は文学少女の一面も持つ常磐を、持ち前の朗らかさと健やかさでナチュラルに演じている。

脚本は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』など瑞々しいタッチで青春を描き続ける岡田麿里。原作は中学編から高校編へと物語が進んでいくが、映画では高校時代の春日が中学時代を振り返り、さらに未来へと踏み出す形で構成した。なお、高校編が映像化されるのは本作が初となる。

監督を務めるのは、『片腕マシンガール』や『電人ザボーガー』などカルト&ファンタスティックな作品を作り続けてきた井口昇。原作の最初の数ページを読んだだけで「この作品を映画にするために、映画監督になったのではないか」という直感と衝撃を受け、自ら実写化に向けて奔走した。原作者の押見修造が「井口監督に『惡の華』を撮っていただくことは、長年の夢でした」とコメントしているように、2人は相思相愛。脚本の細部に至るまでディスカッションを重ねた結果、原作者と監督のお互いへの尊敬と、作品やキャラクターへの愛情が詰まった、映画『惡の華』が誕生した。

思春期とは、つくづく厄介な時期である。渦中にいるときは苦しく、しかも、思い出すには羞恥がともなう。しかし、その通過儀礼を経ずに大人になると、また違う困難に見舞われるから悩ましい。

そんな思春期に、今、苛まれているすべての少年少女と、かつて思春期に苛まれたすべての少年少女に捧げられている

Story

あの夏、僕は仲村さんと出会い、リビドーに目覚めた。

山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…

「僕は変態なんかじゃ...ない」

「僕は変態なんかじゃ…ない。」

Cast

伊藤健太郎

1997年6月30日生まれ、東京都出身。モデルを経て、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(CX)で俳優デビュー。その後「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」(TBS)、「仰げば尊し(TBS)などに次々と出演し注目を集める。『デメキン』(17)で映画初主演を飾り、以降『覚悟はいいかそこの女子。』(18)、『ういらぶ。』(18)、『犬猿』(18)、『ルームロンダリング』(18)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)など多数の話題作に出演。2019年第42回日本アカデミー賞 新人俳優賞・話題賞 俳優部門を受賞。また、「アシガール」(NHK)の“若君”役や、「今日から俺は!!」(NTV)のツッパリ“伊藤”役などユニークな役柄でも人気を博し、幅広い年代から支持されている。ラジオ「伊藤健太郎のオールナイトニッポン0」(ニッポン放送)ではパーソナリティを務め、白井晃演出による舞台「春のめざめ」や情報番組MCなど活躍の場を広げており、今最も注目を集める若手俳優のひとり。

玉城ティナ

1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。2012年に講談社主催の「ミスiD(アイドル)2013」でグランプリを獲得。その後、14歳で「ViVi」最年少専属モデルとして人気を集める。2018年に惜しまれつつ「ViVi」を卒業。『ダークシステム 恋の王者決定戦』(14)のヒロインで女優デビュー。2018年『わたしに××しなさい』で映画初主演。『オオカミ少女と黒王子』(16)、『貞子vs伽椰子』(16)、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』(16)、『PとJK』(17)、『暗黒女子』(17)、『ういらぶ。』(18)、『チワワちゃん』(19)などに出演しコメディからホラー、学園モノからシリアスな人間ドラマまで幅広い役柄を演じている。公開待機作に、『Diner ダイナー』(19)、主演を務める『地獄少女』(19)などがある。

飯豊まりえ

1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2012年に女優デビュー後、数多くのドラマ・映画に出演。7月クールテレビ朝日木曜ドラマ「サイン―法医学者 柚木貴志の事件―」への出演も決定。2019年は『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』のヒロイン役として声優に初挑戦し、『名探偵ピカチュウ』で日本語吹き替えにも初挑戦した。2019年秋には映画『いなくなれ、群青』の公開、初舞台タクフェス第7弾「流れ星」に出演。2020年1月には主演映画『シライサン』の公開も控えている。毎週土曜朝には情報バラエティ番組「にじいろジーン」 (KTV)にレギュラー出演中。また、雑誌「Oggi」「MORE」でモデルとしても活躍中。

秋田汐梨

2003年3月19日生まれ、京都府出身。2015年に「ニコラ」オーディションでグランプリを獲得。専属モデルとして2019年まで活躍。2017年NHK新春スペシャルドラマ「富士ファミリー2017」への出演を機に女優としてのキャリアをスタートさせる。主な出演作には、ドラマ「僕たちがやりました」(KTV)「セトウツミ」(TX)、 「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(NTV)や映画『青夏 きみに恋した30日』(18)、『L♡DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(19)、『賭ケグルイ』(19)などがある。本作の佐伯役はオーディションで井口監督に「佐伯を演じられるのは彼女しかいない」と言わしめ満場一致で決定した。

鶴見辰吾

1964年12月29日生まれ、東京都出身。1977年「竹の子すくすく」(ANB)でデビュー。「3年B組金八先生」(TBS)シリーズで注目を浴び、相米慎二監督『翔んだカップル』(80)で映画初主演。多くの映画、TVドラマ、舞台で正統派から悪役まで幅広くこなす。最近の主な映画出演作に、『日日是好日』(18)、『マスカレード・ホテル』(19)、『きばいやんせ!私』(19)、『こはく』(19)がある。

黒沢あすか

1971年12月22日生まれ、神奈川県出身。10歳から児童劇団に所属し子役として活躍の後、1990年、『ほしをつぐもの』で映画デビュー。2003年塚本晋也監督の『六月の蛇』に主演し第22回オポルト国際映画祭最優秀主演女優賞を受賞し注目を集め、園子温監督『冷たい熱帯魚』(11)などで強烈な印象を残す。主な映画出演作に、『嫌われ松子の一生』(06)、『渇き。』(14)、「沈黙~サイレンス」(17)、「昼顔」(17)、『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19)など。公開待機作に『楽園』(19)がある。

坂井真紀

1970年5月17日生まれ、東京都出身。1992年「90日間・トテナム・パブ」(CX)で女優デビュー、その後も数々のテレビドラマ、CMに出演し活躍。1996年「ユーリ」で映画初出演。2008年『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』で第18回日本映画批評家大賞助演女優賞、第23回高崎映画祭特別賞を受賞。最近の主な出演作に、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)、『友罪』(18)などがある。今秋公開『駅までの道をおしえて』、『108 海馬五郎の復讐と冒険』への出演も決定している。

松本若菜

1984年2月25日生まれ、鳥取県出身。2007年女優デビュー。2009年『腐女子彼女。』で映画初主演を務める。2017年には石川慶監督『愚行録』での演技が評価され、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。その他の主な映画出演作は、『無伴奏』(16)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『この道』(19)、『柴公園』(19)など。

高橋和也

1969年5月20日生まれ、東京都出身。88年男闘呼組メンバーとして音楽デビュー。解散後、94年の舞台「NEVER SAY DRAEM」、映画『KAMIKAZE TAXI』で俳優活動を本格的に開始。以後、舞台、映画、TVにと幅広く活躍。15年、映画『そこのみにて光輝く』にて第29回高崎映画祭助演男優賞受賞。近年の主な映画出演作に、『そして父になる』(13)、『太陽』(16)、『あゝ、荒野』前編/後編(17)、『たった一度の歌』(18)、『新聞記者 』(19)等がある。

Crew

監督:井口昇

1969年6月28日生まれ、東京都出身。学生時代に撮った8ミリ作品『わびしゃび』がイメージフォーラムフェスティバルで審査員賞を受賞。自主制作の『クルシメさん』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門で奨励賞を受賞し、以降『恋する幼虫』(03)『猫目小僧』(05)などを監督。2007年には『片腕マシンガール』が海外および国内でカルト的な人気を博し、数々の国際映画祭に出品。30カ国以上で公開されその名を世界中に轟かせた。2011年には『電人ザボーガー』がロングランヒット。同作でアメリカ・テキサス州の映画祭、ファンタスティック・フェストでファンタスティック部門監督賞受賞を果たす。新作を発表する度に海外から招待が殺到する程、世界中で熱狂的ファンを生み出しており、北野武、三池崇史に並ぶ人気と知名度を誇っている。主な監督作品に、『ヌイグルマーZ』(14)、『ライヴ』(14)、『スレイブメン』(17)、『ゴーストスクワッド』(18)、伊藤健太郎も出演していた『覚悟はいいかそこの女子。』(18)など。

脚本:岡田麿里

1976年生まれ、埼玉県出身。1996年にビデオシネマで脚本家デビューを果たし、以降フリーで漫画原作やゲーム、ラジオドラマなどの脚本を手掛ける。1998年には「DTエイトロン」でアニメ脚本を手掛けはじめ、その後「とらドラ!」「花咲くいろは」「凪のあすから」などアニメを中心に数々のヒット作品のシリーズ構成・脚本を担当。2013年『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』では、企画原作からノベライズまでを手掛けた。また、同年、これまでの功績が認められ第16回アニメーション神戸賞を受賞。2017年以降は実写映画・TVドラマの脚本も執筆し、自伝「学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで」も刊行。2018年には初監督作品となる『さよならの朝に約束の花をかざろう』が公開され、上海国際映画祭アニメーション最優秀作品賞やシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭ファンタスティック・ディスカバリー部門最優秀長編作品賞受賞を果たした。9月は他に『空の青さを知る人よ』が控える。

主題歌:リーガルリリー

東京都出身ガールズ・スリーピースバンド。儚く透明感のある詞世界を音の渦に乗せて切り裂くように届ける。2014年に当時高校生であったVo.Gt.たかはしほのかとDr.ゆきやまが出会いリーガルリリーを結成する。10代の頃より国内フェスや海外公演に出演するなど精力的にバンド活動を行う。2018年7月に新メンバーにBa.海が加入をして、ガールズ・スリーピースとして新体制となる。2019年3月世界最大級の音楽フェスティバル「SXSW 2019」に初出演するなど、国内外問わず唯一無二の世界観と壮大なライブパフォーマンスに注目が集まっている。挿入歌「魔女」は1stミニアルバム「the Post」収録の再録版。元々押見修造の大ファンであったたかはしほのかが、「惡の華」を読んでいた高校生の時期に描いた楽曲である。バンド初のタイアップとなる主題歌「ハナヒカリ」は、たかはしほのかがコミックを初めて読んだ時の衝撃を大事にしつつ書き下ろした新曲。

1981年3月19日生まれ。群馬県出身。2002年「真夜中のパラノイアスター」でデビュー。これまで思春期の少年少女をモチーフに、独創的な作風で数々の作品を発表。「漂流ネットカフェ」、「ぼくは麻理のなか」がTVドラマ化、『スイートプールサイド』(14)、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)が映画化されるなど、人気作品の映像化が続いている。自身の体験が色濃く反映された「惡の華」は別冊少年マガジンに2009年から5年間に渡って連載され、鬱屈とした青春と行き場のない衝動を描き、その過激なストーリー展開は強烈なインパクトを与えた。「このマンガがすごい!2011」オトコ編の10位にランクイン、「マンガ大賞2012」にもノミネートされるなど、今もなお多くの読者に愛され続けている。好評のうちに「ハピネス」(別冊少年マガジン/講談社)が完結。現在は「血の轍」(ビッグコミックスペリオール/小学館)を連載中。

Interview

井口昇監督 × 押見修造

井口僕は大抵のマンガや小説を読んでも、自分の日常や人格との違和感を覚えて寂しくなるのですが、「惡の華」ほど酸素のように体に染み渡って理解出来て感動した作品は初めてだったんです。僕は普段マゾをやっているので、春日の行動の一つ一つが心底よくわかりますし、女の子のキャラクターが全員魅力的でツボに入りまくったんです。押見先生は、M心がわかる方だな、女の子のことを本当に好きでいらっしゃる方だなと思い、講談社の担当者の方にお願いしてご紹介いただきました。

押見6~7年前ですね。

井口「『惡の華』という星があったらそこに住みたい!」と思うくらい自分にフィットした作品を、映画をやっている自分が映画化しないでどうするんだと思って、「いつか『惡の華』を映画化したいです!」とお伝えして、企画書も出しました。なかなか実現しなかったのですが、角川の涌田さんが動かしてくれたことで実現に至りました。

押見僕が初めて井口監督の作品を拝見したのは19歳のときでした。VHSで『クルシメさん』を拝見して、自分が抱えている苦しさやつらさが表現されている作品があることに驚きましたし、すごく救われたんです。僕はその頃、漫画家になりたくて、でも描けなくて、悶々としていたんですけど、自分の内面をどうやったら物語にできるのかを、監督の作品に教えてもらった気がしました。

井口光栄です…!

押見僕が漫画家になれたのは井口監督のおかげだと、勝手に恩を感じています。だから、「惡の華」を読んでくださった上、映画にしたいとおっしゃってくださったことが本当に嬉しくて。僕もそうなったらいいなと思っていた夢が、時間はかかりましたが、やっと叶いました。

井口諦めないで見守って頂いて有り難かったです。当時はまだ連載途中だったので、どんなラストを迎えるのかを教えていただいて。

押見春日と常磐が2人で人生を始めていく、結婚のようなものに向けて描いています、とお伝えしました。

井口それを聞いて、高校生編の最後までやらないと先生が想い描いた「惡の華」にならないと実感しました。11巻ある原作を2時間の上映時間に収めるために悩んだのですが、高校生編で始まって中学生編を回想するという構成をご提案しました。先生とは入念にディスカッションをさせていただきましたよね。

押見いろいろ口を出してすみません。基本的な構成は素晴らしいと思いましたが、ディテールについていくつかご意見を言わせていただきました。
秘密基地が燃えたあと、仲村さんが佐伯さんを抱きしめるシーンをぜひ入れてくださいともお願いしました。映画で見たかったので。

井口僕は基本的に先生の原作と岡田さんが書いた脚本に従ったんですけど、いくつかオリジナルの要素を入れました。ひとつは、佐伯さんがブルマでハードルを跳ぶシーン。

押見あそこ、良かったです。あれがあるとないとでは大違いです。

井口この映画が海外の映画祭で上映されたときに、まずは外国人にブルマの良さを伝えないことには、春日がブルマを盗む心理がわからないから、映画に入っていけないんじゃないかと思ったんです。

押見あの当時の自分を叱ってやりたい気分です。盗む前に佐伯さんのブルマ姿をもっとちゃんと描いておくべきだったと気付かされました。ありがとうございます。

押見仲村さんは、最初から最後まで全部完璧でした。仲村さんに言ってほしいセリフも全部言ってもらってます。

井口本当ですか?特にベストな仲村さんは!?

押見最高すぎて選ぶのが難しい…。夜の教室では泣きましたし。

井口え!泣きました!?

押見はい。「契約終わり」と言ってからの立ち去り方も最高でしたし、「つまんないつまんない」というセリフも「そうか仲村さんはこう言うんだな」と。あと、仲村さんの目の剥き方も素晴らしかったです。

井口本読みで仲村役の玉城さんに、「こちらからは演出しないので、まずは最初から最後まで思うようにやってみてください」と言ったら、すでにああいう目や言い方をしてくれていたんです。

押見何気なく振り向くところの目つきもやばかったですね。秘密基地で春日がベシベシ殴られるところや頭突きされるところは羨ましかったです。

井口やったー! 先生に羨ましがって頂けたら何より嬉しいです!あの頭突きは映画オリジナルなんです。2人を密着させたかったんですけど、仲村さんは単に寄り添ったりはしないだろうな、どんなときでも相手に痛みを与えるだろうなと思って、頭突きにしました。僕が仲村さんにやられたいことベスト3を考えたうちの1つです。

押見いやー、僕も仲村さんに頭突きされたいです。

井口健太郎さんには、中学生の心を忘れないように、ホテルに帰っても中学生っぽいことばかり考えていてくれと言いました。あと、身長が170cm台なんですけど、なるべく猫背にして、150cm台に見える芝居をしてください、「好きな食べ物はハンバーグ!」みたいな人の芝居をしてくださいと言いました。

押見体操着を着せられるところも良かったです。一回殴られて「うーん」となるリアクションに、スッと共感できました(笑)。
春日が白いブリーフを履いていて「やった!」と思いました。

井口自分が観客としてこの映画を見たとして、春日がトランクスを履いていたら「『惡の華』をまったくわかってない!」とドン引きすると思ったんです。

押見春日がブルマを手にとって、まず股間を触って、そこを嗅ぐところもよかったです。家に持ち帰った体操着を、ベッドの上すぐに並べるところも見事でした。

井口健太郎さんには「この機会しかないから、すべて分子まで吸い取るくらいの嗅ぎ方をしてくれ」と言いました。ブルマの色に関しては、スタッフと1時間くらい議論になりました。時代と地域によって、紺、えんじ、水色と、色の記憶が違うんです。みんな一歩も譲らなくて。

押見僕は小中とも紺でした。紺以外はありえない。

井口紺にしてよかったー!

井口僕にとって学校生活は苦痛なことがすごく多かったんです。特に思春期って、一般や平均の概念から外れている人って、すぐに「おかしい」「変」と言われて、差別の対象になりやすいじゃないですか。性的なことに限らず、“変態”やマイノリティの悲しみや孤独を映画『惡の華』で表現したいと思ったので、学校がつらい人や、生きていて居心地の悪さを感じる人たちに見てもらいたいです。一種のハッピーエンドの形はとっていますが、若い人たちに向けて、これから先も続く人生へのエールを込めたつもりです。

押見まさに、僕もその思いをマンガに詰め込んだつもりだったので、その思いを汲んでいただいたと感じました。マンガの最後の方で、大学生になった春日が走馬灯のようにこれからの人生を見るところに出てくる、過去でも現在でもない仲村さんが都会を歩いているカットの意味を聞かれたのは印象的でした。

井口ラストシーンを考えるときに、先生があの仲村さんを現実と妄想のどちらで解釈しているのかが大切かなと思ったので。

押見人生の可能性の表現といいますか、これから先に無数の道があるうちの1つの仲村さんです、とお答えしました。

井口「思春期は終わりを迎えるけれど、その後を断定したくない」と。僕も、お客さんに考えてもらう余白のある結末にしたいと思って、「誰の心のなかにも惡の華はいるんじゃないか」というニュアンスのラストになりました。

押見原作者として、こんなにも嬉しい映画化はないです。全部がマンガのままなので、原作を好きという方も感動してくれるんじゃないかなと思います。できることなら自分が中高生の頃に、この映画を見たかった。見ていたらマンガを描かずに済んでいたと思います。

井口感慨深いです…!

春日高男役:伊藤健太郎
思春期は誰もが通ってきた道だと思います。ただ、誰と出会ってきたか、
どんなものを見たか、どんなものを読んだかでその先の道が決まっていくと思います。
その道はたくさんあって、何かに反発したり春日のような人がいたり。
春日を理解するのは難しいかもしれません。ただ、誰もがどこかに共感は出来ると思うんです。
『惡の華』を観た大人の方にはこういう思春期があったなと思い出して欲しいですし、
まだ思春期を迎えていない人達にもこの映画がどう映るのかが非常に楽しみです。
仲村佐和役:玉城ティナ
10代から20代の短い時期に感じた感情や気持ちは、これからの人生において
色褪せてほしくないし色褪せるべきでもないと思います。
その時に得た感情をマイナスに捉えるだけではなく、その時期の感情を否定せずにいてほしい。
『惡の華』を観て、この作品に光る共通のものを皆さんが見つけてくれたらいいなと思います。
常磐文役:飯豊まりえ
私はこの作品に出会って凄く衝撃を受けました。
人それぞれの思春期だったり環境だったりでこの作品は見方が変わるなって思っています。
誰しもが本来持っている、内に秘めている部分と普段は見せない部分を思い出させてくれる作品だと思います。
この映画を観た人が、それぞれの惡の華を語り合ってくれたらいいなと思っています。
佐伯奈々子役:秋田汐梨
私は今高校生で今回の登場人物達に年齢が一番近いのですが、自分の学生生活とは全然違うので初めは戸惑いました。
仲村さんの事は全然わからない!笑
この映画は迫力のあるシーンがたくさんあって、私自身も挑戦的なシーンが多かったので大変でした。
自分の中学生時代と比較して見てもらえると面白いかなって思います!あ、あと監督がふわふわしていて癒されました!
監督 : 井口昇
「惡の華」を初めて読んだ時、最初の数ページで
「これは絶対に映画にしたい。そのために映画監督になったのではないか」と
全身に電流を浴びたような衝撃と直感に満ち溢れました。
長い片思いのような気持ちを抱え続け、遂に実現できる事になりました。
毒のある過激さだけではない普遍性と、孤独を感じる少年少女への共感が、
「惡の華」に人々を惹きつける理由だと思います。
今を生きる観客が求める題材とリンクしてきた「惡の華」こそ、今映画にするべき作品だと思っています。
主題歌 : リーガルリリー Vo.Gt.たかはしほのか
「惡の華」は、高校生の時に何度も読み返した漫画の1つで、当時の、自分が宝物にしていた記憶が映画の中でも感じられました。役者さんも、まるで漫画の中の行間も表現するように、自然な雰囲気をまとっていました。とても素晴らしい作品でした。
挿入歌「魔女」は、高校生の頃、「惡の華」をよく手にとっていた頃に作りました。私の内なる爆発物は、音楽にすることによって、叫んでもだれにも怒られません。映画チームの方がこの曲を気に入ってくれて、この話をいただいたので、とても嬉しかったです。
偶然は素敵なものです。作品と、監督、役者、この曲の全ての爆発が交わるシーンは、とても素敵なものでした。
主題歌には「ハナヒカリ」という曲を書き下ろしました。
高校生から4年ほど経ちましたが、爆発は、形を変えて、音にすると、かなしみといらだちを行ったり来たりするだけになりました。
なぜ、そこで爆発できないのかというと、もうだれも守ってくれないからです。次は自分が誰かを守るようになるのです。そういうことを思って書きました。
原作 : 押見修造
井口昇監督に「惡の華」を撮って頂くことは、長年の夢でした。
僕の魂を救ってくれて、物語の作り方の手本にしてきたのが井口監督の作品だったからです。「惡の華」を描く上でも多大な影響を受けました。
ですので、1番楽しみにしていた観客が僕だと思います!
さらに、岡田麿里さんの脚本が絡み合うことで想像以上のものに仕上げて頂きました。
本当の、切実な、胸に突き刺さる「変態」を観ていただけると思います。
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